ピーター コトゥリル 1991年
Puce(チビ)は、おばあさんがとってもかわいがっている、とてつもなく巨大な犬です。頭は天井に届きそうなくらいで、何よりかわいくありません。鼻は顔の真中にピンクの座布団がベッタリくっついたみたいだし、目はうすいブルーで、ガラス玉で出来たはくせいの目のよう。その犬がひっくり返って喜んで、お腹をさすってもらう様子は、非常に気味が悪いのですが、おばあさんにとっては世界一の犬です。

さて、ある土曜日、おばあさんとチビはお買い物にでかけます。
「チビー、チビちゃーん、行きますよ。
はやくいらっしゃい!」
(これだけ大きな犬が後ろにいるのに気づかないで、ニコニコしているおばあさんも、かなりの重症ですね)
そしてここからが、大変です。
おばあさんはきちんと歩道を歩いていくのですが、巨大なチビは当然、車道です。おかげで通りは大渋滞。けれどもおばあさんは自分の後ろで起こっていることに、いっこうに気がつきません。

「きょうはやけに人がいないわねえ。土曜日だというのに、おかしいこと!」おばあさんは首をかしげました。
ふたりの行く先々で、パニックが起こります。
スーパーにつきました。
はしゃぐチビに、おばあさんはピシャリと「いい子でおすわりしていらっしゃい!」としかりつけます。チビもすぐに言うとおりにしますが.....


店中の非難を一身に受け、いかにも気の弱そうな店長が、おそるおそる
「こ、この犬は、奥様のでしょうか?」とたずねます。
おばあさんは「そうですよ。わたしのチビちゃんです。とってもかわいいでしょ?」とニッコリ、
呆然と立ち尽くす周囲に気づきもせずに、帰って行きます。
店の外は大騒ぎ、とうとうヘリコプターまでバリバリと出動しています。
おまわりさんがおばあさんのところにやってきました。
「この辺りに怪物がいるという通報を受けたんです。気をつけて帰ってくださいよ」
おばあさんは、またまたニッコリ、「あら、ご心配なく。私にはこのチビがついていてくれますもの」と、再び街をメチャクチャにしながら、帰って行きます。
ちなみに「PUCE」とは、フランス語で「ノミ」を意味します。(ここではノミのように小さい、ということで「チビ」とさせてもらいました) とことんふざけていますよね。
私の手元にあるのはフランス語版ですが、オリジナルは英語版で、タイトルは「ROLF」となっています。
単に犬の名前の「ロルフ」より、「PUCE」の方が、断然楽しいですね。翻訳のサビーヌさんに拍手です。