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LOLA(ローラ)

ベネディクト グティエ作 
エコール デ ロワジール社 フランス 1993年

おなかに赤ちゃんがいるお母さんにすすめるのに、これよりいい本は知りません。それくらいきれいな本です。生成りの布表紙の、広げた手のひらにすっぽり収まってしまう大きさで、ピンクと水色の淡い水彩絵の具だけで描かれています。

ローラパパ歌う パパがママのおなかにむかって、歌をうたいます。ローラはパパの歌が大好きです。パパは「ララララ....」と歌うのだけれど、ローラには「ローラ、ローラ....」と聞こえます。ローラはうっとりしたり、手足をバタバタさせたりしながら、喜んで聞いていますが、だんだん大きくなって、もう動けなくなります。
           
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その時、パパの呼ぶ声がどんどん大きくなっていきました。一体どうしたのかなあ?ローラは見に行くことにしました。そして.....

パパもママも、顔の目から下だけが、くすんだ生成り色の紙に淡い水彩絵の具で、さらっと描かれています。文も手書きです。使われている色はたったの2色、うすいピンクと水色で、その濃淡ですべてがあらわされています。表情があるのはローラだけ、笑ったり、踊ったり、腕を組んだり、ねっころがってうっとりしたり。絵にぴったりの、さらさらと流れるような文、まるで音楽をきくように読める絵本です。最後のローラの誕生シーンでは、そのすべてが静かに体に染み込んでいくようです。

作者自身も女の子のお母さんになったばかりの時期に出版された本です。その女の子の名前は確かローラだったはずですから、これは娘さんにささげられた本なのでしょう。この後、ローラがもう少し大きくなってからの続編も出版されています。
作者のグティエさんは広告やデザインもなさっている方で、他にもたくさんの絵本を描いています。ほとんどが幼児向けで、親と赤ちゃん、動物を扱ったものが多いです。みんなカラフルでユーモアたっぷりの作品ばかりです。


「ローラ」をはじめ、「ティシュシュ」、「モモ」のシリーズ、「むかしむかし...」は全部、フランスの児童書専門出版社「エコール デ ロワジール」が出しています。パリでこの出版社の方とお会いした時、彼女たちが話してくれたことは、忘れられません。
ここでご紹介しているタイトルを見ていただいてもわかるように、エコールの出す本は、形も素材も、まちまちです。これは、製作費用や書店で売りづらいという点からしても、出版社にとって、あきらかにマイナス要素です。日本で売られている本を考えて見てください。たとえ絵本であっても、おおかた同じような版形ですよね。けれどもエコールは、作家の意志と作品を尊重して、できるかぎり作家の望んだままの形で出版するように心がけているそうです。
エコールはパリのサンジェルマンの近くにありますが、同じ場所に児童書専門の本屋さんも出しています。この「シャントリーヴル」もたいへんすばらしい本屋さんです。一番驚いたのは、スタッフが手分けして、お店に置く本を一冊残らず、目を通しているということです。他の出版社のものや文学、外国の絵本も含まれますから、それはもう膨大な量です。単に好きというのに加え、子どもに本当にいいものを与えて、その上で商売としてきちんと成り立たせるというのは、本当に難しいことですが、この出版社はそれを実現しています。絵本は贈り物にされる場合が多いので、よくお客さんからどんな絵本がいいかを相談されるそうです。その時には、相手の子どもの年齢、性別、性格までをきちんと聞いてから答えるそうです。「意外と贈られる子どものことを考えていない方が多いのですよ」と店長さんが笑いながらおっしゃっていました。「シャントリーブル」とは「歌え、本よ」という意味の造語です。長くなりすぎました。この続きはお隣の「Une Histoire」で書きます。

「Chantelivre」の住所: 11, rue de Sevre, Paris 6区


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