アルベール ラモリス作 1976年
エコール デ ロワジール出版 フランス
この絵本は同名の映画からの写真を使って作られています。映画は1956年製作で、カンヌ映画祭で賞をとっています。
ほとんどのページが白黒で、ときどきカラーのページが混じり、はっと目をひきます。白黒のページもすてきですが(50年代のパリがものがなしく、独特の雰囲気でうつっています)、それにはさまれた、ふうせんの真赤、パリの街のくすんだ壁の色、空に舞う色とりどりの風船もまた、とてもきれいです。たいへん雰囲気のある絵本です。表紙もすごくいいですよね。
主人公の男の子は、監督ラモリス氏の実の息子さんだそうです。男の子の表情や全体を通してのリアルさは、そんなところからもくるのでしょうか。きくところによると、現在この映画の権利を持っているラモリス氏の身内と思われる人は、かなり変わった方のようです。フランス人なのですが、今はイギリスに住んでいて、彼のエージェントですらほとんど連絡がとれないそうです。もしかしたら、大人になったパスカル少年でしょうか?!
日本の出版社でこの絵本を出版しようとしているところがあるそうですが、そんなわけで、話しがなかなかすすまない、と去年ききました。今はどうなっているのでしょうか。
そんなわけで、この絵本の画像の使用許可はとれませんでした。エコール デ ロワジール側は許可をする権利がないそうで、直接監督の家族からの許可がなければならないそうです。残念ですが、写真は抜きでいきます。
あらすじ: お母さんと二人暮しのパスカルは、友達が欲しくて欲しくてしかたありませんでした。ある日街灯にひっかかっているきれいな赤い風船を見つけます。それは意思を持った不思議な風船で、ふたりは友達になります。ところが風船はわがままで、家や学校で、つぎつぎ問題を起こします。そのうえ魔法の風船をねらういじめっ子たちがやってきて....
本を読んだときの楽しさが減るといけないので、あえて最後までは書きません。
偕成社から、岸田衿子さんのすばらしい訳と、いわさきちひろさんの絵で、「あかいふうせん」が出ています。オリジナルとはかなり違った、でもこちらもすてきな絵本です。
つけたし:
「赤い風船」を映画館で見てきました!10月7日と14日の二日間だけ、渋谷の映画館で上映されました。結論から言うと、とてもとても、きれいでした。どのシーンをとっても絵葉書のよう。最後の風船に連れられて空に男の子が消えていくシーンは、やっぱり私には、ハッピーエンドというより、悲しいものに感じられました。それから主人公パスカルが、半分は自分のために割られた風船を残して、うれしそうに笑いながら旅立っていくのがなんとなく釈然としない気持ちでした。割れたのもポケットに入れて連れていってあげればいいのに、と思ったのは私だけでしょうか(笑)?
コクトーも大絶賛のこの作品で、ラモリス監督は映像芸術家としての名声を確立するのですが、これから10数年後、映画撮影中に事故で若くしてなくなったそうです。私は以前絵本「赤い風船」の版権について調べていたとき、版権会社の人に「監督が偏屈で誰も連絡がとれなくて、権利交渉ができない」というような話しをきいたことがあります。でも監督はとっくに亡くなってしまっているのだから、この偏屈さんは実は大人になったパスカル少年のことだったのでしょうか?(主人公パスカルはラモリス監督の実の息子さんです)。